【徳大生大活躍!】?中高生向けヘルスケア課題解決プログラム『i-GIP(アイ?ジップ)四国』再始動!
徳大生のめざましい活躍や挑戦を紹介する「徳大生大活躍!」
多彩なフィールドで活躍する徳大生の熱意や工夫、成長のストーリーを通して、地域や未来を動かす若い力を紹介します。
今回紹介するのは『i-GIP(アイ?ジップ)』に所属する医学部のお二人です。
「医療の専門知識がなくても、誰かを救いたいという思いがあれば社会に貢献できる」という思いのもと、全国で展開されている中高生向けヘルスケア課題解決プログラム『i-GIP(アイ?ジップ)』。中高生と大学生が二人三脚で半年間かけて医療課題解決に取り組み、学生達のアイデアが社会実装されるという活動です。
この団体の四国代表を務める角優花(すみ ゆうか)さん(医学部医学科2年)は、高校2年生だった2022年に活動に参加。その時の経験から、若者の可能性を広めるコミュニティが必要だと感じ、一時休止していたi-GIP四国の活動を2025年に再開させました。
角さんと共に中高生をサポートする学生メンターとして参加する医学部医学科1年の松本治奈(まつもと はるな)さんと共に、活動について詳しく伺いました。(取材/2025年11月)

i-GIPポーズをする角さん(左)と松本さん(右)。
FM徳島のラジオ番組で活動PRを行いました。
i-GIP四国再始動へのみちのり
休止していたi-GIP四国を復活させようと思った時、どのように進めたのですか?
角さん 1年生だった昨年(2024年)はi-GIP四国が休止していたので、i-GIP関西に所属し、メンター?企画運営?渉外担当として活動していました。月に1、2回関西圏で行われる教育プログラムに対面で参加し、オンラインで打合せなどに参加していました。1年経って、高校生の時にi-GIPに参加していたこともあり、「やはりi-GIPの四国支部が必要だ」と感じました。大学生のコミュニティーに対する思い入れもあったのですが、2025年のテーマを「糖尿病」とし、この医療課題の解決に少しでも携わりたいという思いも強かったです(※徳島県は糖尿病死亡率が長年にわたり全国ワースト1位で、現在も全国平均より高い状態が続いている)。i-GIP関西で1年間、メンターとして経験を積み、企画運営の進め方も学ばせていただいたので、「今なら復活させられる」と思い、復活させました。

どうやって仲間を集めたんですか?
角さん 徳島大学からi-GIP関西へ行っていたメンバーがもう1人いたので、2人で徐々にこの活動に興味のある学生を巻き込んでいきました。現在は約20人で活動していて、ほとんどが徳島大学の学生です。神山まるごと高専のデザインが得意な学生や、愛媛大学の学生も運営メンバーとして参加しています。
そうして集まったメンバーの1人が松本さんなんですね。松本さんはどうして参加しようと思ったんですか?
松本さん やってみたいという興味もあったし、この活動自体が人と人との関わりを大切にしていて、人脈の広い人が多いこともあり、新しい繋がりができるかなと思って参加しました。
医学部の学生だけでなく、他学部の学生も参加しているのですか?
角さん はい、徳島大学の薬学部、理工学部、総合科学部の学生も参加しています。最初は人を巻き込むことに対する難しさもありましたが、現在は自他ともに能動的に、楽しく活動しています。それぞれの入るきっかけは異なり、高校生に様々な経験をして欲しいと思っているメンバー、企画運営に携わりたいメンバー、普段は経験できないことに取り組みたいメンバーなど、様々な理由で参加しています。
今は12月に開催される「inochi Gakusei 糖尿病フォーラム」に向けての準備をしているそうですね。
角さん そうですね。i-GIPは5地域ありますが、四国支部のメンバーは対面で話せる時間が非常に多いこともあり、仲の良さやつながりの深さはピカイチだと勝手ながら自負しています。だからこそ、12/14の最終発表日も、より大きな価値を生み出せる空間になるのではないかと強く思います。また、プロジェクトを進めるために機械的に動くのではなく、お互いが信頼し合い、共に高め合える、温かいコミュニティーになっています。そして、高校生と大学生の距離感も近く、成し遂げられることもより深く、より幅広くなっているのではないかと思います。
i-GIP四国2026はどうなる?
12月の大会が終われば、活動はいったんお休みですか?
角さん そうですね。来年もまた4月、5月頃から募集が始まり、5月中旬~末に選考があり、選考に通った生徒がプログラムに進むという形になっています。私たち大学生もそれにあわせて、また新たにエンジンをかけ直すという感じになります。
サークルのように代々新しい人が入って継続できる仕組みができるといいですね。
角さん そうですね。プロジェクトはサークルとは違い、自分たちがやりたい時にやるというよりも、一定のリズムで進める必要があります。学校生活には波があり、テストや行事もある中で、いかに自分たち学生でブレずに進めていくかという難しさがあります。そういった壁を乗り越えた先で、過去の経験が今に生きていると振り返ることができます。その時差をいかに言葉で埋められるか、初めて参加する人たちに価値のある時間であるということをどう伝えるかが難しいところです。
メンターとなる大学生を集めるより、主体となって参加する中高生を集めるのが難しそうですね。学校に講演に行ったりするのですか?
角さん 学校の先生に帰りのホームルームの時間をいただき、徳島県内の複数の高校に対面で説明会を行わせていただきました。また、公共施設や学校など、様々な場所にチラシを置いていただいたり、徳島駅で許可を取った上でチラシを配布したりしました。
松本さんは今年初めてメンターとして高校生をサポートされて、いがかでしたか?

松本さん 私はどちらかとういうと高校生と同じ目線で、アイデアに対しても「なるほど!」と共感し、見守るタイプのメンター。チームも、本当にいろんなパターンがあって、同じ学校?同じクラスの友達同士で参加してくれるチームもあれば、同じ学校だけど学年が違う子たち、まったく別の学校だけど知り合いや友達同士というのもあります。そこに、初対面の大学生である私たちが入っていくので、最初はどうしても深い話がしづらい空気もあります。だからまずは、みんなが話しやすくなるように、空気をほぐしていくこと。それが大切な役割だと思いました。
角さん 今年は復活して1年目だったので、メンターを経験していない学生も多く、最初は難しい部分もところもありましたが、今はそれぞれが能動的に、互いに支え合いながら動けていると思います。
松本さん 高校生それぞれ性格の違いもありますが、チームごとに特色があり、自分がメンターとして入ったチームと他のチームとは印象も全く違っておもしろいなと思いました。思ったように進まない場面でも、先輩たちが相談に乗ってくれたり、周りには優しい人が多く、いつも助けられています。私にとってもいい経験になりました。
大学の勉強も忙しい中、プロジェクトを並行して進めるのは苦労があると思います。
角さん 確かに時間の制限はありますが、私の中では「何かを成し遂げる時のキャパシティ」の定義があります。それは物理的な時間、支えてくれる仲間の存在、そして自分自身の物事に対する熱量(どれだけ成し遂げたいか)の3つのかけ算だと思っています。時間が限られていても、自分が何をしたいか、誰に何を与えたいか、どういうコミュニティを作りたいかという思いを大切にしながら頑張っています。
発信、共鳴、循環を大事に 愛し愛される場を目指して
i-GIPでは過去にはどのようなアイデアが生まれましたか?
角さん 「レッドシート」というアイデアを紹介させていただきます。あるチームは、スポーツ観戦中に人が倒れた際に、周囲の人が、素早く心肺蘇生などの救命活動に移せないという課題に着目し、会場の所々の座席を赤く塗った、料金が比較的安い席を設置し、万が一人が倒れた際はそのシートに座っている人がAEDを取りに行くという解決策を考えました。この解決策は、実際に社会実装されています。
角さんが高校生時代に参加したときはどんなアイデアを?
角さん 私が参加した年のテーマは「腰痛」で、私たちのチームは運動部に所属している高校生に注目しました。腰痛を抱える高校生が、痛くても「休んだら迷惑をかけてしまうんじゃないか」とか、「痛みを理由にしているけれど、本当は部活を休みたいだけじゃないの?」と見られてしまうのが怖くて、「痛い」と正直に言い出せない人もいると思います。痛みは目に見えないからこそ、どのようにして痛みを見える化するかが大きなポイントで、周りも声をかけやすくなる仕組みが必要だと考えました。こうした場合、医療従事者からは「無理せず休んでね」というアドバイスを伝えることに止まってしまうかもしれませんが、高校生や大学生だからこそできるアプローチがあるはずだとチームで議論を重ね、私たちは赤と緑のリバーシブルのリング「CoMリング」を考えました。痛みがないときは緑、「ちょっと腰が痛いな」と思ったら、赤にひっくり返す。そうすることで、周囲がひと目で状態を理解できるようにするという案を考えました。
いいアイデアですね!社会実装はされたんですか?
角さん 最終的に実装まではもっていけなかったんですけど、実際にバスケ部やサッカー部などの運動部に所属している学生にプロトタイプの「CoMリング」をつけてもらって意見をもらい、どのようにすればより良くできるのか検討しました。痛みを見える化するという取り組みは今まであまりない発想だったので、興味を持ってもらえたと思います。バスケ部やサッカー部は腕でもいいけど、バレーボール部は「腕よりも脚の方がいい」といった案もでました。また、この解決策は腰痛だけではなく、他の痛みを伴う病気などにも「反映していけるね」っていう話をしてました。
今年のテーマは糖尿病ですが、どんなアイデアが出ていますか?
角さん 今年は子供たちやそのご家族に1型糖尿病の発症メカニズムを分かりやすく理解してもらえるような絵本を作るというアイデアが出ています。 また、周囲からの偏見を減らすために、1型糖尿病の名称変更に向けて動いているチームや、制限のある院内食をより楽しく完食してもらうために、お盆の上に患者さんの趣向に基づいたイラストを敷くというアイデアを出しているチームもあります。その他にも、たくさんの個性あふれるアイデアが生まれています。
松本さん この活動の意義は、高校生たちが目の前の患者さんの困りごとに共感し、その解決策を考えることにあります。実際に患者さんの話を聞くと、表面上では見えない困りごとや心配ごとが見えてきます。どんなにポジティブな人でも心配に思っていることはあるので、そうした思いに寄り添ったアイデアを考えたいと思います。
どんなアイデアが発表されるのか、「inochi Gakusei 糖尿病フォーラム」は見逃せませんね!
角さん i-GIPの活動を再開し、たくさんの人に助けていただきました。私たちが思いをもって活動していても、どれだけ地域に溶け込める団体になれるか、周りに受け入れてもらえるかは、とても大事だと思っています。私たちが何かやりたいと思ったときに、手を差し伸べてくれる大人の存在は欠かせないので、この活動を信頼していただけるように行動し、地域の方々に愛され、そして私たちも地域を愛し、巡る思いを還元する。今年のi-GIP四国は「発信、共鳴、循環」を大事にして頑張っているので、多くの方にこの活動を知っていただき、共感していただき、これから先の未来にどんどんこの活動を繋げていって、他者に対する愛を循環させていけるように、『i-GIP四国』を愛し愛されるコミュニティーにしていきたいと思います。
i-GIP四国、今年度の最終報告会となる「inochi Gakusei 糖尿病フォーラム」についてはこちら!
i-GIP四国
https://inochi-wakazo.org/2025/shikoku/
「inochi Gakusei 糖尿病フォーラム」 開催!
テーマ:『糖尿病』
日時:2025年12月14日(日)13:00?17:30
場所:徳島大学 蔵本キャンパス 大塚講堂
詳細、参加申込みはこちら↓↓
https://inochi-wakazo.org/2025/shikoku_news/#SHIKOKU-news-11




